年齢による記憶力の低下を言い訳にして”うまく怠けてきた”人、もうそれは通用しませんよ
社会人になっても資格試験・昇進試験・語学習得・スキルアップなどのために勉強をする機会は多い
- トシのせいで記憶力が悪くなった
- 人の名前がなかなか覚えられない
- ド忘れ・物忘れが多い気がする
- 学生の頃はすばやく色んなことが覚えられたのに
こんなふうに、あなたは記憶できないことを”年齢のせい””記憶力の低下のせい”にしていないかな?
脳細胞の数は3歳から100歳まで変わらない
実は、最近の研究では、脳を動かす神経細胞の数は、3歳以降はほぼ一定で、100歳になったとしてもほとんど変化しないことがわかっているんだよね
昔は脳細胞が年齢とともに減少していくと考えられていたけど、オランダの115歳で亡くなった女性の脳を解剖したところ、脳の機能がほとんど老化していないことがわかったんだ
(この実験結果から、脳の寿命は120年くらいだろうと考えられている)
まあでも、実は脳の働きを決めるのは脳細胞の数ではないんだけどね
脳の働きは神経回路の数で決まる
重要なのは、個々の神経細胞のつながりである「神経回路」の数なんだ
そして、神経回路の数は、年齢と経験を重ねるごとに新たに増え続けることがわかっている
ということは、若い頃より記憶力が低下してるってことはなくて、年を重ねるとむしろ向上しているはずなんだけど……
”年齢のせいで記憶力が低下する”という思い込みで、本当に記憶力が低下する
アヤナ・トーマス博士(アメリカ・タフツ大学)が行った実験によって、年齢を重ねても記憶力はほとんど変わらないことが証明されている
若者と年配者の正解率に目立つ差はなかった(どちらも約50%)
すると同じ試験なのに年配者の正解率は約30%に低下した
若者の正解率は約50%で変わらなかった
このように、年齢による結果の差はなかったんだよね
これは、アメリカ北西部のアイオワ州・ライスピルの小学校で行われた人種差別についての実験授業とよく似ている
- 青い目の子はみんな良い子だから5分余計に遊んでもよろしい
- 茶色い目の子は水飲み場を使わないこと
- 茶色い目の子はダメな子です
すると青い目の子どもたちの成績は上がり、茶色い目の子どもたちの成績は下がった
翌日は立場を逆転させ、茶色い目の人は優秀、青い目の人は劣っているとして生活する
すると今度は青い目の子どもたちの成績が下がり、茶色い目の子どもたちの成績は上がった
つまり、人間は年齢や人種に関係なく、思い込みによってパフォーマンスに影響が出る生き物なんだ
ちなみに、この思い込みを引き起こすのは、時間感覚の違いも原因のひとつなんだとか
大人も子どもも、使わなかった情報は半年もすれば忘れてしまう
ただ、子どもの感覚では半年前は”かなり前”のように感じるけれど、大人にとっては“最近”だったりするよね
「最近のことなのに思い出せない」という感覚で大人はショックを受け、その結果「やはり記憶力が低下している」と思い込むんだそうだ
でも、よくド忘れするし、やっぱり記憶力が落ちていると思う
たとえば、子どもの頃に比べて人の名前が思い出しにくくなっている……と言われて思い当たることがあるんじゃないかな
こういったド忘れの原因は、年齢と共に記憶している情報が増え、必要な情報を探すのに時間がかかっているから
実際のところ、ド忘れする回数は大人も子どもも変わらないそうだ
大人はそれを”老化の象徴”と考えてしまうんだけど、子どもは思い出せなくても特に気にしてないよね
名前が思い出せないのは、大人のほうが知人の数が圧倒的に多いからだ
歳をとるほど記憶はどんどん増えていく
記憶を思い出すのは、本がぎっしりと並んだ本棚から目当ての本を探すことに例えられる
膨大な棚から特定の情報を取り出すには時間がかかるよね
そう考えると、高齢になるほど記憶を思い出せなかったりするのは分かる気がする
PCのハードディスクだって大量にデータを保存すると読み込みに時間がかかるのと同じだね
記憶力はほとんど衰えないけれど、個人差がある
記憶力を高める習慣がある人とない人がいるんだ
人の名前のド忘れで言うと、子どものうちはまだ知人が少ないので、少ない記憶の本棚から簡単に取り出すことができる
さらに、何度も記憶の本棚から出してくるから、復習になって記憶を定着させる効果が高くなる
学生時代は今よりずっと多くの時間を、勉強につかっていたはずだよね
学生の頃は記憶力がよかったと感じているのは、情報を記憶するために使う時間が多かったからなんだ
よく思い出してみると、学生の頃だってすんなり覚えられたんじゃなくて、暗記するのに苦労したり、何度やっても思い出せない問題があったりしたんじゃないかな
記憶を定着させるにはアウトプットを増やす
記憶を定着させるためには、とにかく詰め込むという考えが長い間主流だったけれど、2008年に発表されたハーバード大学での実験で、この考え方が覆される
どれだけ情報を脳にインプットできたかではなく、情報をいかにアウトプットしたか
それが記憶を定着させるポイントだということがわかったんだ
教科書や参考書を何度も読み直すより、問題集や模擬テストを何度も解くほうが記憶できるってことだね
僕が今こうやってブログを書いているのもアウトプットだし、これとは別に読んだ本の要約をまとめる読書ノートも書いている
たくさん読んでいると「あ、ここはあの本の内容と繋がるな」って思い出して何度も記憶を引っ張り出して使うから、ここ最近読んだ本の内容はかなり覚えているんだよ
逆に、読んだだけで済ませてしまっている本の内容は、断片的な情報としては覚えているんだけど、何回読んでいてもうまくまとめて言えなかったりするんだよね
おもしろいと興味を持つことや、必要だと思うことにきちんと取り組むと、年齢に関係なく記憶力は向上するんだ
”トシのせい”でないのなら、高齢になってからでも新しいことを覚えられる可能性が無限にあるということ
だから「もうトシだし」なんて言い訳はせず、常に新しいことにチャレンジして成長していこうよ
次回予告
次回は”献血”をテーマにちょっとした思考実験をしたいと思う
献血に行く動機が「クリアファイルがもらえるから」は是か非か?
今まで読んできた本の知識や、これまでのマーケティングの経験から、”献血”に対する考え方をまとめてみるよ
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