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献血に行く人を増やす秘密とは、まず献血に行かせること!

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個人的な理由でこの記事を書いています

これまで、このような記事を書いたことはほとんどありませんでした

しかし、あなたにこのことを知っていただくには、とても重要だと思ったのです

おそらく高校生以上であれば、”献血”という言葉を知らない人はいないだろうと思う

献血、それは”無償で血液を提供すること”

……と、各辞典には書かれている

さらに、日本赤十字社による定義はこうだ

病気や怪我で輸血を必要としている患者さんのために、健康な人が血液を提供するボランティア

そう、つまり”見返りを求めない行為”が献血なんだ

すごいよな、献血

だってそんな人の命に関わるような重要なことが、ただ人の善意を基盤としたシステムに成り立ってるなんて、メチャクチャすごいことだと思う

でもね、僕いまこのシステム自体にかなり危険なイメージを持ってるんだよね

献血のシステムは見直すべき段階にきている

何はともあれ、まずはこの厚生労働省の調査結果を見てほしい

献血者数の推移

もう引きで見てもわかるくらい献血する人が減っている

まあ、あえてグラフを縦長にして差が大きく見えるようには作ってあるんだけど、それにしても減ってるよね

平成12年あたりから減りはじめて、平成27年には174万人も減ってる

平成6年だけやたら高いけど、この前はどうだったんだろうな

ネットで調べた限りではこれより前の全国データが出てこないんだよな

岩手県限定のデータは出てきたんだけど、これを参考にすると昭和52年から平成6年まで献血者数の多い時代で、その後から減りはじめたみたいだ

ちなみに、いちど回復傾向にあったのが平成22年以降また減っているのは、東日本大震災の影響だそうだ

10代・20代の献血者数を増やさないといけない

さっきのデータだと、10代・20代のグラフが滑り台のように下がっていて、この世代で大きく献血者数を下げていることが分かるね

30代も平成22年頃から下がり続けてる

対して40代以上では増えているんだけど、これは元々献血している世代が横スライドしているだけのように見える

もちろん少子化の影響は少なからずあると思うけど、だからこそこの世代の献血者数を増やさないといけない

血液はどれくらい先に足りなくなるのか

実際のところ、まだすぐに血液が足りなくなるというわけではないんだよ

昭和60年までは1回200mlだった献血量が、翌年から400ml献血できるようになって、血液の量としては献血者数が多かった頃の状態を維持できている

でも血液っていくつか種類があるから献血者数は多いほうが絶対に良いし、そもそもやっぱり”献血してる世代”の人たちが昔の倍の量を提供するようになったから維持できてるんだよね

つまり、この人たちがいなくなったら一気に崩壊していくってことだ

献血って"ついで"で行きにくい

商店街のアーケード内によく献血センターがあるけど、そんなとこ歩いてるときは明確に目的地があって急いでる場合が多いので、献血リマインドされても行けない

それに血を抜かれるとちょっとしんどくなって、その後のコンディションに差し障りも出そうだしさ

だから「献血に行く」という目的をもって出かけないと、なかなか献血すること自体が難しいよね

つまり、この世代の人たちが"献血に行く理由"を作らないといけないわけだ

このまま何も対策しなければ、全体の献血者数はどんどん下がっていってしまうことが容易に想像できる

そこで10代・20代に人気のキャラクターを使って、フィギュアスケートの羽生選手とか女優の広瀬すず氏とかを起用したり、ラブライブ!なんかの作品とコラボして、献血に行くとその絵や写真が印刷されたクリアファイルがもらえるようになったんだよね

ところが、これがいま波紋を起こしている

クリアファイル目当てで献血に行くのは偽善?

たしかに理想をいえば、クリアファイルなんかなくても献血に行く人が増えるのが美しい社会だ

けれど、もはやキレイ事だけ言っていられない事態が近づいてきている

なんでもいいからとにかく10代・20代の献血者数を増やさないといけないんだ

実際のところ無償のボランティアと言っても、昔からお菓子とジュースくらいはもらえていたんだしね

余談だけど、タレントのなすび氏は、このお菓子とジュースで飢えをしのいだ時期があると言っていたエピソードが印象深い

クリアファイルの転売について考える

TLを見てるとこのクリアファイルをネットで売るために献血に行く人がいるという論点が問題になってるみたいなんだけど、それだって別に問題ないと僕は思っている

別に盗んだわけじゃないんだし、日本酒の転売問題のように味に見合わない価格で流通してしまってブランドイメージが下がるといったシロモノでもない

資本主義的に見て、何ら問題ないよ

献血行くの面倒だから手っ取り早く金で買いたい人がいて、献血行ったけどクリアファイル要らない人がいて、需要と供給の間に市場価格が形成されていて、めちゃくちゃ健全な経済活動だよ

まあ、転売は色々なところでトラブルになっているから、そのキーワードだけで”坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”心理になるのは分かるけどね

逆の視点から見ると、注射針がどうしても怖くて献血に行けないけど、クリアファイルは欲しいって人はどうしたらいい?

ね、そういうこと

マーケティング知識を応用するとクリアファイル目当てでも将来は理想に繋がる

最初の動機はクリアファイル目的であっても、いちど経験してしまえば"献血に行く"ということ自体のハードルが大きく下がる

心理学を利用したセールスでいうところの"フット・イン・ザ・ドア"とか"ベイビー・ステップ"と同じだ

セールスにおいて最も高いハードルは"初めての購入"である見込み客に売ることで、いちど買ってくれた既存客はリピーターになってくれる確率が高い

最初の動機はなんにせよ、献血に行ったことがあるかないかで、将来的には理想的な"無償の献血"をする人たちになってくれる可能性が変わるんだ

40代以降の献血者数が増加していることから、献血も同じ心理学知識が使えると予測できる

ちなみに、今回紹介したフット・イン・ザ・ドアやベイビー・ステップについては、ロバート・チャルディーニの『影響力の武器』がオススメだよ

次回予告

我々クリエイティブ業界の人間にとって、集中力は非常に重要

その集中をどうやって維持するのか、どうやって集中力を高めるのか

次回はその答えの1つとなるテクニックを紹介するよ

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