なぜ意志力を高める邪魔をする人たちといつまでも付き合うのですか?
良い習慣を継続して悪い習慣を捨てる実践記録として「自分を変える」本をテーマに連載しているよ
意志力を高めるのに良い影響を与える人──身近にいますか?
ルール違反の「形跡」が自制心を低下させる
たまたま通りがかった人々が次々と「何気ない欲求」に感染して、連鎖的に悪いことをやってしまう
オランダのフローニンゲン大学の研究者らが行った実験では、様々な状況においてこんなことが発生してしまうことが確認されたんだ
まず実験の下準備として、マナーの悪い人たちがいたような「形跡」をわざと仕込んでおく
- 「駐輪禁止」と書かれた看板のすぐ脇のフェンスに自転車をチェーンで繋いでおく
- 「ショッピングカートは店内に返却してください」という表示のあるスーパーの駐車場にカートを置きっぱなしにする
こんなふうに研究者たちが仕掛けたワナにまんまと引っかかった人たちは、ものの見事に看板のルールを無視しはじめた
この実験で、意志力や誘惑と同じようにルール違反も感染することが分かった
しかもひとつのルール違反が様々な形で感染していくことも観察されている
自転車置き場でないところに駐輪しているのを見た人が、近道のためにフェンスを乗り越えてまで「通り抜け禁止」の路地に入っていく姿が目立つようになり、駐車場にカートがいくつも置きっぱなしになっているのを見た人の中には、ゴミを投げ捨てていく人が何人もいたんだ
環境犯罪学で言う『割れ窓理論』と同じなんだろうね
こんなふうに他の人がルールを無視して好き勝手に振舞った形跡を見ると、人は衝動に負けやすくなってしまう
これは誰かが悪いことをしているのを見ると自制心が低下してしまうからだ
- 誰かが税金をごまかしているのを耳にした人は、それとは関係ないけどダイエットをサボりたい気分になるかもしれない
- 制限速度オーバーの車に次々と追い抜かれたドライバーは、少しくらいお金を使いすぎたってかまわないような気分になるかもしれない
たとえばそれが派手なケンカのシーンがあったり、他人が好意を寄せている男性を奪い取ろうとするような内容のリアリティ番組をテレビで観ただけだとしてもね
こうして考えるとアマゾンプライムデーの下準備かのようにバチェラージャパンっていう、女性の恋愛バトルをテーマにしたリアリティ番組をガンガン宣伝してたのは……さすがに考えすぎかな?
こんなふうに実際に誰かがルール違反をしている現場を観なくても、その形跡を見るだけで自分も感染してしまう恐れがあるんだ
意志力の実験:「鉄の意志をもつ人」のことを考える
今回の課題は意志力の実験が1つ、マイクロスコープが1つある
最初の課題は科学的な研究や理論にもとづいて自己コントロールを強化するための実践的な戦略、意志力の実験
今回は「鉄の意志をもつ人」について考えてみよう
自制心の強い人のことを考えると、自分自身の意志力も強くなることが研究によって明らかになっています
あなたのチャレンジに関して、模範となるような意志力の強い人はいますか?
同じ問題に取り組んで成功した人やぜひ見習いたいと思うような意志の強い人はいますか(私の講座で意志力の強い模範的な存在としてよく例にあがるのは卓越したスポーツ選手や宗教指導者、政治家などですが、次に説明するとおり、家族や友人のほうがさらにモチベーションがアップするかもしれません)
もう少し意志力を強くしたいと思うときはお手本にしたい人のことを心に浮かべましょう
そして、鉄の意志をもつあの人なら、こんなときはどうするだろうと考えてみるのです
ありがたいことに僕の周りには「やりきった人」「難しいことに挑戦し続けている人」たちが沢山いる
しかもその多くが家族持ちで、自分の自由になる時間が少ない中で自分を高め続けている人たちだ
でも最近はこの『スタンフォードの自分を変える教室』に出会うきっかけになったメンタリストのDaiGo氏を意識することが多い
メンタリズムのパフォーマンスで脚光を浴びた時期を知っている人は多いと思うけど、最近は心理学系の論文をベースに集中力や時間術のように分かりやすく教えてくれるニコニコ生放送が有名なんだ
著者は「身近な人のほうがいい」と言っているし、僕も以前Twitterで「目標や憧れにする人は身近にいるほうがいい」と言ったことがあるけど、最近はこんな風に有名な人でも身近に感じることができるので、そういった相手であれば目標や憧れにするのも効果的だと思う
「好きな人」から感染する
社会的な流行は地域の区画などに関係なく、互いに尊敬し合い好意をもっている人たちのネットワークを通じて広まっていく
自分が愛情・尊敬・親しみを抱いている人たちのことを考えるときには、脳はその人のことを「自分と同じもの」と見なすそうだ
この「互いに尊敬し合い好意をもっている」というところがポイントで、「ただ毎日職場で顔を合わせるだけの同僚」であれば、「友人の友人のそのまた友人」の影響力のほうがずっと強いらしい
そして相手の欲求や振る舞いが自分に感染するのを意志力の免疫システムが防いでくれるのは、誰かのことを「自分とは違う」と認識した場合に限られる
これは脳スキャナーを使った実験でも実際に確認できる
成人の被験者たちに、まず自分のこと、次に母親のことを考えてもらったとき、脳の活動した領域はほとんど同じだったそうだ
「自分」と認識しているものには、自分が大事に思っている人も含まれているということなんだね
そう考えると前回の記事『感染源が周囲の意志力を高める』に出てきた「脳の中に他人がいる」というのも納得できる気がする
マイクロスコープ:誰の影響を最も受けていますか?
2つ目の課題は各章で説明するポイントが自分の生活にも当てはまることに気づくための課題、マイクロスコープ
今回は「誰の影響を最も受けているか」考えてみること
自分にとって「親しき他人」とは誰だろう、と考えてみましょう
いちばん長く一緒に過ごしている人は誰ですか?
尊敬する人は?
自分と似ていると感じる人は?
誰の意見を最も重要だと感じますか?
誰のことをいちばん信頼し、大事に思っていますか?
いつの間にか、その人たちと同じこと─いいことでも、悪いことでも─をやっていませんか?
あるいは、その人たちのほうが、あなたと同じことをするようになりましたか?
これまたありがたいことに現在は職場に恵まれていて、尊敬し合える同僚と毎日を過ごしている
1日の中で家族よりも長い時間を一緒に過ごしている仲間たちなので、おそらく最も影響を与え合う関係になっていると思う
でも「自分と似ている」と感じる人は社内にはいないかなぁ──ストレングス・ファインダーの診断結果がいくつか被ってる人はいるんだけど、微妙に違ってたり対極の強みを持っていたりするからかもしれない
たぶんTwitterで繋がっている実用書中心に読む読書家さんのほうが「似ている」と感じているかもしれないな
でもやっぱりいちばん信頼して大事に思っているのは「家族」だと思う
まとめ:意志力を高めるには良い影響を与え合う人間関係から
誰かが悪いことをしているのを見ると意志力が低下してしまうが、それは「悪いことをした形跡」を見ただけでも同じことが起こることを学んだ
「親の背を見て子は育つ」という言葉があるように、昔から人間は身近な人から影響を受けて生きてきた
良い影響を与えてくれる人脈を築くのはもちろん、自分も誰かに良い影響を与えて手本になれるように心がけよう
次回予告:仲間のマネはしたいが、ろくでなしの仲間にはなりたくない
人は「仲間がやっていることは自分もやったほうがいい」と思うそうだ
次回はこういった「仲間意識の心理」について勉強していこう
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