速読と勉強法を用いた書籍読書術の実践と本の書評レビュー

読書家の長尾さん

意志が弱い人を狙う ドーパミンで搾り取る人たち

意志力を高める『スタンフォードの自分を変える教室』実践編 連載

意志が弱い人を狙う ドーパミンを搾り取るマーケッター

投稿日:

あなたがまったく欲しいとも必要だとも思っていないものを売り込むために、あなたの脳の報酬システムを刺激する人たちが大勢います

読書家の長尾さん
『スタンフォードの自分を変える教室』の内容を実践していく連載の第22回を始めます!

「自分を変える」本を実践して良い習慣を継続して悪い習慣を捨てる実践記録だよ

僕は「自分を変える」ことの実感が出てきたけど、あなたはどうかな?

今回の見どころ

まいど!!

さて今回の見どころは?

読書家の長尾さん
今回もドーパミンがテーマだよ

あの脳内物質、怖すぎやんな……足が電流で黒コゲになるまでって、何考えとんねん……

読書家の長尾さん
このエグいエピソードについては前回の記事「意志が弱いから誘惑に負けるんじゃない ドーパミンのせいなんだ」を読んでね

しかもドーパミンが出ただけでは幸福感は得られへんねやろ? 人体実験された人らも救いがないやん……

読書家の長尾さん
そのドーパミンを出す脳の報酬システムを刺激するものが、身の周りに溢れてるって話は覚えてる?

ぎょーさんおるわ

読書家の長尾さん
今回はそんなドーパミンが出やすい環境を仕組んでビジネスに利用している人たちのエピソードを紹介するよ

!!

マーケティングの現場はドーパミンを出す仕掛けだらけ

報酬を期待してドーパミンが放出されると、人は他の様々なものにも誘惑されやすくなる

  • エロ画像を見た男性が金銭的リスクを冒す
  • 宝くじに当選したらどうしようと妄想している人がやたらと大食いになる

ドーパミンが急増すると、目先の快楽がやたらと魅力的に見えて「長期的にどんな影響が表れるか」なんて考えられなくなってしまうんだ

特に買い物をする環境は、あらゆる面で常にもっと沢山欲しくなるように仕組まれている

  • 大手食品メーカーは糖分・塩分・脂肪分を絶妙に配合してドーパミン神経細胞を狂わせる
  • 宝くじのコマーシャルを見れば100万円当たったらどうしようと夢想しないではいられない
  • スーパーは最もお買い得の目玉商品を入口付近と中央に並べる
読書家の長尾さん
ここでふと思ったんだけど、大手スーパーマーケットの入り口前に宝くじ売り場が誘致されてるのって、もしかして……

試食による報酬システムの実験

スタンフォード大学のマーケティング研究者らの研究によると、買い物客はドリンクやフードの試食によって、余計にお腹がすいたり喉が渇いたりして報酬を求める状態になってしまうことがわかった

読書家の長尾さん
試食というのは「無料」と「食べ物」という2つの大きな報酬の「予感」を結びつけるものなんだ

ある実験では、甘いもののサンプルを食べた被験者はステーキやケーキなどのごちそうやセール品を買ってしまう確率が高くなることがわかっている

ドリンクやフードのサンプルを食べたせいで、いかにも報酬システムが活性化しそうな商品に対してさらに魅力を感じてしまったらしい

目新しいものほど「報酬システム」を刺激する

脳の報酬システムは目新しいものや変化に富んだものによく反応する

これを知っている企業は続々と新商品を開発し、新色などで商品バリエーションを追加している

読書家の長尾さん
ほら思い出すよね、あのハンバーガーショップとか、あのファストファッション販売店とか

ドーパミンを操作・誘導する人たち

脳の原始的な部分を刺激して「限定のお買い得品」に飛びつかせるための価格トリックは誰もがもう知っていると思う

  • 1点買えばもう1点無料のキャンペーン
  • 60%OFF!の赤札

こういった「お買い得」なものは何でもドーパミンの大量放出を招く

ドーパミンに操られた脳が「こんなチャンスは滅多にない!今すぐゲットしろ!」と囁くどころか叫びだすんだ

著者が「特に威力が抜群」と紹介しているのが、ディスカウントショップの値札の書き方──マーケティング用語で言う「二重価格表示」とか「ダブルプライス」と言われる値札だ

バカ高い「希望小売価格」「通常価格」のすぐとなりに安い「販売価格」「限定価格」「特別価格」が表示されていると、脳はパパッと差額を計算してそのぶん儲かっているように感じてしまう

ネットで同じ商品が複数の店から販売されているような、いわゆる「型番商品」では検索すればすぐバレちゃうけど、メーカー直売の健康食品とか情報商材にはこのテクニックが今でも使われているよね

読書家の長尾さん
ちなみに「存在しない希望小売価格」や「通常価格で販売した実績がない」場合には景品表示法違反になるから販売している人は気を付けてね

詳しくは「不当景品類及び不当表示防止法」の第五条(不当な表示の禁止)を参照

法律の条文を直接読むのが難しい人は、消費者庁の「二重価格表示ガイドライン」のページを読むと分かりやすいよ

何もないところに欲望を生み出す「香り」

ビジネスの世界では何もないところに欲望を生み出そうとして香りを利用している

おいしそうなニオイがすると、人はたちまち報酬の予感を嗅ぎつけ、脳がその香りの発生源を探しはじめる

ファストフードの店の前を通りがかったとき、フライドポテトやハンバーガーのニオイに魅かれてしまったら、いま深々と吸い込んでいるのは食べ物の香りなんかじゃなく、食欲を刺激するためにまき散らされた化学物質のニオイだと思ったほうがいい

「香りのマーケティングリーダー」の仕掛け

実際に香りを使って誘客したエピソードを紹介しよう

多くの有名ホテルやカジノへの販売実績がある香りの専門社セントエア社(ScentAir)「香りのマーケティングリーダー」を名乗るマーケッターがいた

あるホテルの下の階にあるアイスクリームショップへ客を誘導するため、戦略的に配置されたアロマ送風機によって、階段の上にはクッキーの甘い香りを送り、階段の下にはワッフルコーンの香りを送った

するとたまたま通りかかった女性は本物のお菓子の香りが漂ってきたと勘違いする

もちろん実際に吸い込まされているのはドーパミン神経細胞を最大限に活性化する強力な化学物質

こうして女性はホテルの下の階にあるアイスクリームショップへと、見事に誘導されてしまったわけだ

読書家の長尾さん
香りで虫をおびき寄せて捕食するウツボカズラを連想しちゃったのは僕だけだろうか

「香り」を善いことに活用した事例

あんまり陰謀めいたエピソードばっかり紹介するのもネガティブなので、次は香りと報酬の予感を善いことに活用した例を紹介しよう

フロリダ州のある病院のMRI部門では、「ココナッツ・ビーチ」の香りと「海」の香りを待合室に漂わせた

するとそのおかげで検査をドタキャンする人の数が減ったそうだ

さっき説明した通り、報酬の予感を少しでも感じると、人は他の様々なものにも誘惑されやすくなる

ここでは「バカンス」という報酬をイメージさせる香りのおかげで、心配が和らいで「やりたくない」と思っていることでもやってみる気になったんだ

ドーパミンを出すアロマオイルのオススメ

読書家の長尾さん
これを勉強や習慣化にも応用できないかと思って、ドーパミンを出す香りってどんなものがあるのか調べてみた

ゲラニオールという芳香分子が含まれているものがいいそうで、一般的に販売されているアロマ精油だと「パルマローザ」「ティートリー」「ゼラニウム」がそれにあたるらしい

精油ごとの含有量を調べてみたところ、パルマローザがダントツに高くゲラニオールを含んでいたので、パルマローザがオススメだよ(データは ハーブウォーターの世界 : サイエンスの目で見る : 芳香蒸留水 より)

  1. パルマローザ(78.7%)
  2. ティートリー(2.4%)
  3. ゼラニウム(0.9%)

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ドーパミンを搾り取る「戦略」を見抜く

著者の講座の受講生たちは、これ以降ドーパミンを出させようとする販売者たちの戦略に気が付くようになったそうだよ

ある受講生はそれに気付いて通販カタログの購読を中止した

カラフルなページをめくるたびに新しいものが欲しくなって、何か買わずにはいられない気分になっているのに気付いたからだそうだ

ラスベガスに行った受講生は、ドーパミン神経物質を過剰なまでに刺激しようとするカジノの戦略に気付いた

  • 裸同然のショーガール
  • 食べ放題のビュッフェ
  • 誰かが勝つたびに店内に鳴り響くブザーやピカピカと輝くライト

こういった「戦略」を見抜けば、「やらない力」の意志力を発揮して抵抗するチャンスが生まれるんだよ

ちなみにある女性は退屈なときにいつも自然とグルメ食品の店に足を向けていて、そこへ行っても別に何か食べるわけでもなく、ぶらぶらして商品をながめているだけ──というエピソードもある

読書家の長尾さん
これは何となく本屋に行ってしまう自分を重ねてしまったなぁ

マイクロスコープ:心を動かすものの正体を暴く

各章で説明するポイントが自分の生活にも当てはまることに気づくための課題、マイクロスコープ

今回のマイクロスコープはドーパミンを搾り取る仕掛けに気付くこと

小売店やマーケティング担当者が、どのような方法を使って客の購買意欲を刺激しているかに注目しましょう

スーパーに行ったり広告をながめたりするときに、遊び感覚で試してみてください

どんな匂いがしますか?目をひくものや音の効果が使われていますか?あなたを巧みに誘惑しようとする仕掛けに気づけば、まんまと引っかかったりせず冷静な目で商品を見ることができるでしょう

僕はいつもツタヤで本を買っているんだけど、2,000円分くらい本を買うと翌月末までポイント10倍になるクーポンをもらえるんだよね

この「今月も本を買わないとポイント10倍がもったいないぞ!」と脳にささやかせるのがツタヤのマーケティング担当者の仕掛けだね

半年くらいずっと買ってるから、そろそろ本1冊買えるくらいのポイントが溜まってる

読書家の長尾さん
基本的にはセールに弱いんだよなぁ

半額以下になってると飛びついてしまってると思う

「わかっちゃいるけどやめられない」んだよね

もうセールとかバーゲンに関しては完全にスーダラさんの圧勝だなぁ……

スーダラさんについては「脳の中のもうひとりの自分を利用して意志力を高める」を読んでね

まとめ:ドーパミンを搾り取る「戦略」を見抜けるようになろう

企業のマーケティング担当者は、脳の報酬システムを刺激してドーパミンを出させる手段を熟知している

とにかくドーパミンが出さえすれば、その引き金が別のものであっても彼らの売りたい商品やサービスに対しても「欲望」が働くことを知ってそれを利用している

読書家の長尾さん
戦略を見抜いて「やらない力」の意志力を発揮しよう

次回予告:ドーパミンを「やる力」の意志力に利用する

今回はドーパミンの悪い面を中心に紹介することになってしまったけど、うまく利用すれば「やる力」の意志力を高めることにも繋がるんだよ

次回はドーパミンによる「報酬の予感」をうまく使って意志力を高めることに成功したエピソードを紹介していこう

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