速読と勉強法を用いた書籍読書術の実践と本の書評レビュー

読書家の長尾さん

意志が弱い人よりも強い人のほうが失敗しやすい

意志力を高める『スタンフォードの自分を変える教室』実践編 連載

意志が弱い人よりも強い人のほうが失敗しやすい

更新日:

今日できてないのに明日のほうがもっとできると思うなんて、正気ですか!?

読書家の長尾さん
第18回『スタンフォードの自分を変える教室』の内容を実践して意志力を高める連載をはじめます!

良い習慣を継続して悪い習慣を捨てる、「自分を変える」本の実践記録

一緒に実践して「自分を変える」方法を見つけよう

今日のキーワードは「楽天的な心理的傾向」

今日予想していたよりもできなかったことが、明日もっとできるように予想するなんて馬鹿げてると思うよね

でもそんな楽天的な心理的傾向になっちゃうのが人間ってものなんだよね

意志が弱い自分になるモラル・ライセンシングのワナ再び

第4章ですっかりお馴染みになったモラル・ライセンシング

読書家の長尾さん
モラル・ライセンシングについては第16回の記事「あなたの意志が弱い理由は罪のライセンスだった」を読んでね

このモラル・ライセンシングのせいで人が得意気になってしまうのは、過去の行動に対してだけじゃない

恐ろしいことに「これから良いことをしよう」と思っているだけでいい気分になってしまうんだ

これは前回の記事「少しでも進歩すると意志が弱い自分に!? ToDoリストは作るな!」でも紹介したので、前回の記事を読んだ人は覚えていると思う

今回はこれに関連して、ニューヨーク市立大学バルーク校のマーケティング研究者たちが行った数々の研究から得られた結論を紹介するところから始めよう

サラダを見るとジャンクフードを食べてしまう

マクドナルドのメニューにヘルシーな品物を加えたとたん、ビッグマックの売り上げが驚異的に伸びたというレポートが発表された

これに興味をそそられた研究者たちは、その理由を突き止めるため独自のファストフードメニューを開発して模擬店舗をつくって実験することにした

実験の参加者たちは2グループに分けられ、それぞれ違うメニューを手渡されてその中の商品をどれか1つ選ぶように言われた

  • Aグループ:フライドポテト・チキンナゲット・トッピングつきベークドポテトなど、普通のファストフードの食べ物が並んだメニュー
  • Bグループ:ヘルシーなサラダも載っているスペシャルメニュー

するとBグループでは、メニューの中で最も太りやすそうな食べ物を選ぶ確率が高くなった

これは自動販売機を使った実験でも同じような現象が見られ、通常のジャンクフードの中に低カロリークッキーを加えたところ、多くの参加者は最もヘルシー”ではない”お菓子を選んだんだ

人は目標にふさわしい行動を取る機会が訪れただけでいい気分になってしまい、実際に目標を達成したような満足感を覚えてしまう

そしてまだ満たされていない欲求、つまりは目先の楽しみが最優先になってしまうんだ

「意志が強い」と思っている人ほど失敗する

前回の記事と同じような話から始まったけど、実はさっきの話はこの話に至るまでの布石なんだ

いま紹介した実験の参加者達には、そのうちに特に「食べ物に関して自制心が強い」と自負していた、自称「意志力の鉄人」達がいた

通常のファストフードメニューだけが並んだAグループのメニューから選んだ鉄人たちは、最も太りそうなメニューを選んだ人は10%だけだった

ところがヘルシーなサラダも載ったBグループのスペシャルメニューから選んだ鉄人たちは、50%もの人が最も太りそうなメニューを選んでいたんだ

これに関して著者は「ヘルシーなものはまた今度選べばいいや」と思ってフライドポテトを注文したのだろう、と述べている

読書家の長尾さん
なんといっても意志力の鉄人、1回くらいハイカロリーなものを食べたって後で挽回できてしまう──はずだったんだけど、そうもいかなかったらしい

明日は今日と違う選択ができるに違いないと思うが、そうはいかない

  • 今日はやっぱりタバコを吸うけど、明日からはきっぱりやめよう
  • 今日は運動をサボるけど、明日は絶対にやろう
  • クリスマスのプレゼントは奮発するけど、むこう3カ月は一切買い物はしないぞ

こんなふうに考えて、「だから今日は楽しんでもいいや」と思ってしまう

すぐに挽回できる機会があると分かっている場合は、なおさらこう考えてしまうそうだ

この心理的傾向は、イェール大学の研究者たちによる実験結果で再現されている

学生を2グループに分けて、脂肪ゼロのヨーグルトとクッキーのどちらかを選ばせた

  • Aグループ:次の週の実験でも同じ2つの選択肢から選べると聞かせたグループ
  • Bグループ:お菓子が出てくる実験は1回限りだと思わせたグループ

実験の結果、Aは83%がクッキーを選び、Bはクッキーを選んだのは57%だった

これは実験の題材を変えても同様の結果となった

  • 低俗なエンターテインメント番組と、教養性の高いエンターテインメント番組どちらを見たいか
  • すぐにもらえる少額の報酬と、少し後になるけれども金額の大きな報酬どちらを選ぶか

つまり「あとで挽回できる」と思ってしまうと、自分に甘い選択をしても気がとがめなくなる

この実験でも、翌週も同じ選択肢が待っていると聞いた学生のうち67%が「次回はもっと良い選択をする」と述べた──が、翌週実際にそうした学生は36%しかいなかった

これを踏まえて考えると、「自分は意志力が強い」と思っている人ほど後で挽回できると思い込んでいて、結果その後になっても何も変わってないのは何故なのか納得できるよね

マイクロスコープ:「あとで取り返せる」と思っていませんか?

今回の課題はマイクロスコープが1つ、そして意志力の実験が1つある

まず最初は、各章で説明するポイントが自分の生活にも当てはまることに気づくための課題、マイクロスコープ

今回のマイクロスコープは「あとで取り返せる」と思ってしまうことがないか考えてみる

意志力のチャレンジに取り組みながら、それに関する決断をするとき、「あとで取り返せばいい」という思いが頭をよぎることはありますか?

「今日はダメでも明日挽回すれば大丈夫」と自分に言い聞かせることはありますか?

その場合、今日の自己コントロールはどのような影響が表れるでしょうか?

ツケを翌日に回した場合、はたして本当に挽回しているのか、翌日の自分の行動を観察してみましょう

自分でやると言ったことをちゃんとやったでしょうか? それともまた「今日は楽しんじゃうけど、明日こそちゃんとやろう」の繰り返しだったでしょうか?

今のところ僕の意志力のチャレンジ「平日は毎日ブログの更新を継続する」は達成できている

できてはいるんだけど、今週はさすがに本業が忙しくて「今週いっぱい休んで来週にしたほうがいいんじゃないか……」と思っちゃったんだよね

読書家の長尾さん
今は1章が5本セットの連載が走っているから「いやダメだろ」って思えてるけど、この連載が終わったあとに同じ誘惑が襲ってきたとき、どう対策するかが本番だなあ

人には「明日はもっとできる」と考える習性がある

ウィスコンシン大学マディソン校のロビン・タナーとデューク大学のカート・カールソン

この2人のマーケティング学の教授による研究で、人はやるべきことがあっても後回しにするだけでなく、後になればカンタンにできると思いがちで、先のことを楽観視してしまうことが分かった

どうやら人は「今日よりもあとのほうが時間があるはずだ」という間違った予想をするらしい

この研究では、バーベルや腹筋マシーンといったエクササイズの器具を購入した消費者が、「それをどのくらいの頻度で利用すると思うか」という質問に回答している

その際、質問のしかたを変えてグループを2つに分けた

  • Aグループ:来月は1週間に何回くらいエクササイズをしようと思いますか?
  • Bグループ:”理想的には”来月は1週間に何回くらいエクササイズをしようと思いますか?

質問の違いは、”理想的には”がついてるかどうかだけ

これに関してAもBも回答に目立った差異は見られず、何も言わなくても人は理想的な数字を答えてしまうことが分かった

それどころか「実際的に考えて答えてください」と言われた場合ですら、ことごとく理想的な予想で回答していたんだ

今日はやりたくないことでも、「あとになればきっと時間も余力もあってできるはずだ」と思ってしまう

当然のように後回しにして、「遅れた分はあとで取り戻せるだろう」とノンキに構えてしまうんだ

楽観的な心理的傾向は揺るがしがたいほど強い

この実験では、参加者にもっと現実的な予想を立ててもらうため、何名かの参加者にわざわざ「理想的な予想ではなく、自分自身の行動をできるだけ現実的に考えて予想してください」と前もって指示を与えてみた

ところがこの指示を受けた人たちの回答はさらに楽観的で、参加者のうち最も多い回数を予想して回答する結果となった

研究チームは現実を把握させるため、2週間後に実際エクササイズを行った回数をこの楽天的な人たちに報告させた

案の定、楽天家たちは相変わらずの生活を続けていて、理想的な予想を下回る回数を報告してきた

「では、次の2週間で何回エクササイズをしようと思っているかを答えてください」と質問したあと、研究チームは唖然とすることになる

なんと楽天家たちは1回目の楽天的な予想をさらに上回る回数を答えてきたんだ

読書家の長尾さん
もう完全に「明日から本気だす」のエンドレスループそのものだよね……

意志力の実験:「明日も同じ行動をする」と考える

今回2つ目の課題は、科学的な研究や理論にもとづいて自己コントロールを強化するための実践的な戦略、意志力の実験

今回は「日によって行動にばらつきが出ないようにする」と考えてみよう

行動経済学者のハワード・ラクリンは行動を変えることを明日に延ばすのを防ぐためのおもしろい仕掛けを提唱しています

ある行動を変えたい場合、その行動じたいを変えるのではなく、日によってばらつきが出ないように注意するのです

ラクリンによれば、タバコを吸うなら「毎日同じ本数」を吸うよう喫煙者に指示すると、タバコの量を減らせとは言われていないにもかかわらず、なぜか喫煙量が減っていくといいます

ラクリンの説明によれば、この方法が効果的なのは「明日からちゃんとやればいいや」という言い訳ができなくなるからです

今日タバコを1本多く吸えば、毎日同じ本数を吸う決まりなので、明日も1本多く、その次の日も、またその次の日も、1本多く吸い続けることになります

そうなるとタバコの一服に重みを感じるようになり、ひいては1本のタバコが長い期間に体に及ぼす影響をいたずらに無視できなくなります

今週は、このラクリンのアドバイスをあなたの意志力のチャレンジに生かしてみましょう

日によって行動にばらつきが出ないようにするのです

図らずも僕の場合はこの考え方になっているのでこの連載が続いていると思っている

「1回飛ばすなら1週間分が丸ごと飛ぶ」と考えているので、1回記事を飛ばすダメージが無視できないレベルになっているんだ

読書家の長尾さん
引用した例では「やらない力」の意志力なので「やるならずっとそのままやり続ける」ことを意識させているけど、「やる力」の意志力なら「やらなければずっとそのままできなくなる」と意識することで効果があるんじゃないかな

まとめ:「後から挽回できる」と思わない

「明日は今日と違う選択ができるに違いない」と思っても、実際にはそうはいかないということがわかった

しっかり意識していないと「明日から本気だす」のエンドレスループになってしまう

1回やってしまったら明日からもずっとやらないといけない、1回サボったら明日からずっとできない、と考えるようにしよう

次回予告:意志を骨抜きにする「魔法の言葉」

あるキーワードによって、たとえ見えすいたトリックでも人はむしろ喜んで引っかかってしまうらしい

モラル・ライセンシング最後のワナ、とくとご覧あれ──

記事を書いたらFacebookページTwitterで更新通知するので、まだフォローしていない人はぜひフォローしてお知らせを受け取ってね

-意志力を高める『スタンフォードの自分を変える教室』実践編, 連載

Copyright© 読書家の長尾さん , 2019 All Rights Reserved.