ダイエット中にストロベリーチーズケーキに誘惑されたら──すぐ決断してはいけません!
実践すれば悪い習慣を捨てて良い習慣が継続できるように「自分を変える」ことができる本の実践記録
あなたも自分を変えるために、僕と一緒に新しい実践をはじめよう!
前回のまとめ記事『意志力を高める本を1週間実践した感想』で紹介したとおり第1章は意志力に関する脳のしくみと潜在能力を発揮する3つの力の話だった
今日のキーワードは「意志力が眠らされて体が勝手に衝動的になる生理学的な現象」だよ
自己コントロールは心理学だけの問題じゃない
科学的な研究が進むにつれて、自己コントロールは心理学だけじゃなく生理学にも関わる問題であることがわかってきた
つまり自制心を発揮するというのは、心と体の両面において衝動を克服する強さと落ちつきが生まれている状態だとされているんだ
トレーニングを積めば自制心を発揮できる状態に切り替えられる
「自制心を発揮しているとき体はどんな状態になっているのか?」
「なぜ自制心を発揮できる状態は現代社会のもたらす複雑さによって妨げられることが多いのか?」
研究の結果、こういった疑問の答えがわかってきている
ということはトレーニングを積めば肝心なときに自分の体を自制心を発揮できる状態に切り替えられるということ
そしてやり方しだいでは、体を自制心を発揮しやすい状態に保つこともできるそうだよ
体が勝手に衝動的になる闘争・逃走反応
ではまず1つめの生理学的な現象を見てみよう
原始時代では猛獣など人間に対する外敵が多く、生き残るには戦うか逃げるかしかないようなピンチに遭遇することがあった
そんな状況を切り抜けるための本能は、現代人でも先祖から受け継いでいる
こういった恐怖に対する本能的な反応は「闘争・逃走反応」と呼ばれている
「戦うか逃げるか反応」とか「急性ストレス反応」とされることもあり、火事場の馬鹿力というのもこの闘争・逃走反応によるものなんだそうだ
これはいざというとき身を守るために全力を尽くすための能力で、体や精神のエネルギーをムダにせず、絶体絶命のピンチを乗り切るために集中して使うことができる
闘争・逃走反応が起こる仕組み
次に闘争・逃走反応がどのようにして起こるのか説明するよ
1. 目からの情報を監視している扁桃体が危険を察知する
脳の真ん中あたりに左右2か所、「扁桃体」というアーモンド形になった神経細胞の集まりがある
こいつは警報装置のようなもので、目からの情報を監視していて迫りくる緊急事態を察知した場合に脳の他の領域や体中へ信号を送る
2. ストレスホルモンとエネルギーを分泌する
警報装置である扁桃体の信号を受けて、ストレスホルモンが副腎から分泌され、エネルギー(脂肪と糖分)が肝臓から血中に分泌される
これにより呼吸器系では肺が膨らみ、体内に酸素が十分に行きわたるようになる
心臓血管系では血中のエネルギーが必要な筋肉に行きわたるようフル回転する
3. 自己コントロールを妨げる
脳の警報システムは意識を外敵や身の回りの状況に集中させ、目の前の危険から注意をそらさないように働く
そのために警報システムは脳内化学物質に複雑な変化を生じさせ、前頭前皮質の働きを妨げてしまう
前頭前皮質は第1章に出てきた脳領域で、衝動をコントロールする役割をするんだったね
詳しくは「脳の中のもうひとりの自分を利用して意志力を高める」の記事を参照してね
内なる敵には闘争・逃走反応は役に立たない
さっきは外敵に襲われるなどの危機的な状況に対する反応だったけど、次は内なる敵との闘いだ
たとえばダイエット中に糖分と脂肪がたっぷりのストロベリーチーズケーキを見てしまった場合を考えてみよう
1. ストロベリーチーズケーキを見た瞬間の反応
ストロベリーチーズケーキを見た瞬間、脳の中央からドーパミンが放出され、注意力やモチベーションや行動をつかさどる脳の領域に到達する
2. 脳が最初のひと口を予測したときの反応
こってりしたチーズケーキの最初のひと口を脳が予測したとたん、神経系に作用する物質が分泌され、血中に流れているありったけのエネルギーを集めるよう脳に命じて血糖値がさがる
チーズケーキの誘惑に対して体が血糖値をさげるロジックについて、本の中で面白い解説があったので引用して紹介しよう
糖分と脂肪がたっぷりのチーズケーキを食べるってことは、血糖値がいっきに跳ね上がるぞ
糖分の採りすぎで昏睡状態にでもなったらみっともないし、万が一にもチーズケーキなんぞのせいで死んじまうわけにもいかないんだから、血中の糖分を下げておかないとな
外敵に対してと内なる敵に対しては立ち向かう方法が異なる
闘争・逃走反応は最も原始的な衝動に駆り立てるものなので、内なる敵に対して自制心を発揮するためには役に立たない
内なる敵にはひと呼吸おいて考える本能で立ち向かう
ケンタッキー大学の心理学者スーザン・C・セガストロームは、ストレスや希望などの心理状態が体に与える影響を研究している
この研究からストレスと同様に自制心が生まれた場合も生物学上の兆候が現れることを発見した
セガストロームはこれを「休止・計画反応」と呼んでいる
これは内なる葛藤を認識した場合に起こる反応だそうだ
- やりたいことがあるけれど、それをやってはいけないと認識している状態
- やるべきことがあるのに、やる気がしない状態
これに対してどのように体が反応するのか見てみよう
1. 脳が警戒サインに気付く
脳の警報装置である扁桃体は、音や視界に入るものや匂いに絶えず注意を払っていて闘争・逃走反応を起こす
これと同じように脳の他の領域では内部で起きている変化を見張っている「自己監視システム」が常に働いているんだ
自己監視システムは脳のすみずみまで及び、前頭前皮質の自己コントロールをつかさどる領域と身体感覚・思考・感情を監視する領域とを結びつけている
- 心に浮かぶ考え
- 感情
- 身体感覚など
こういった情報から自己監視システムは警戒サインが表れやしないかと待ち構えている
そして警戒サインに気づいたとき、休止・計画反応が起こりはじめる
2. 前頭前皮質を助けるためにエネルギーを脳へ向ける
外敵に対しては殴りかかったり全速力で逃げたりする必要があるけれど、内なる敵に対してそれは必要ない
むしろ衝動を抑制するために前頭前皮質が全力を出せる状態が必要なんだ
そのため体内のエネルギーは脳に向けて集められることになる
3. 本能を鈍らせる
前頭前皮質が自己コントロールの指示を出すと、心拍数・血圧・呼吸など自働的な機能をつかさどる脳の領域の働きが鈍らされる
つまり休止・計画反応が起こると、闘争・逃走本能とは反対に生物として生存に必要な本能を鈍らせて、自制心が働くような状態に調整するんだ
マイクロスコープ:なぜ「やりたくないこと」をしてしまうのか?
各章で説明するポイントが自分の生活にも当てはまることに気づくための課題、マイクロスコープ
今回のマイクロスコープは、内なる衝動とは何かを明らかにすること
あなたの意志力のチャレンジに関して、抑制すべき「内なる衝動」とは何かを明らかにしましょう
いったいどんな考えや感情のせいで、ほんとうならやりたくないはずのことをやりたくなってしまうのでしょうか?
もしわからなければ、実際に観察してみるのがいちばんです
次に誘惑にかられたときは、自分の内面に意識を向けてみましょう
- 「ここのところ疲れてるし、今日はもう休んだほうがいいんじゃないか?」
- 「他に読みたい本もあるし動画も見たいし、そういえばここのところゲームもしてないな」
- 「たまには息抜きが必要なんじゃないか?」
- 「もう何回か中断してるんだし、今さらじゃないか?」
- 「さっき見た○○って面白そうなんだよなー気になるなーやってみたいなー」
- 「あと○時間しかないじゃないか、今やっても間に合わないって」
……おそろしいな! 内なる敵おそろしい!
こんなたくさんの誘惑に無防備なら、そりゃやりたいことほったらかして他のことやっちゃうよ!
まとめ:内なる敵に遭遇したらまずは落ち着こう
内なる敵に対して最も効果的なのは、すぐに行動に出ることではなく、むしろ落ち着くことだ
休止・計画反応がまさにそれで、内なる葛藤を認識すると脳と体に変化が起き、落ち着かせて衝動を抑えようとすることがわかった
やらないほうがいいことを「やりたい!」と思ったり、やらなきゃいけないことを「やりたくない!」と思ったときには、気分を落ち着かせてみよう
次第に休止・計画反応が起きて自制心を発揮できる状態になるはずだ
次回予告:意志の強さが鼓動で分かる
次回も意志力に関する生理学的な話
心臓の動きから意志力を発揮できる状態になっているかわかるそうだよ
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