あなたは不思議に思ったことはありませんか? なぜ人はテレビショッピングで買いたくなってしまうのか?
今回は自己啓発ではなく、具体的なテクニックを勉強しよう
『30分で5億売った男の買ってもらう技法』は、テレビショッピングの構成作家であり、シナリオライターでもある星野卓也氏の著書だ
人生ドラクエ化マニュアルは”人生を物語として捉える”という内容だったけど、こちらは物語をセールス手法に取り入れるというアプローチだ
読み終わって改めて思ったんだけど、物語のもつ力って本当にすごい
そして人間って生物的に恐らく遺伝子レベルで物語が大好きなんだなという実感が深まった
人間は本質的に物語を欲している
人間がなぜ物語を求めてやまないのか、その理由は未だ明らかにされていないけれど、とにかく人間という生き物が本質的に物語を欲していることは、小説・映画・テレビアニメ・童話など様々なストーリーが消費され経済が動いていることからも明らかだよね
ところで、ハリウッドの脚本家・シナリオライター達によって、人が引きつけられる物語の構造パターンが既に確立されているって知ってたかな?
実は、「常識すぎてその通りにするのはちょっとつまらない」とすら思われはじめているくらい、物語を作ることを仕事にしている人達の間では当たり前の知識なんだ
著者の星野氏ももともとシナリオライターとして生計を立てていた人で、『ときめきメモリアル』などのテレビゲームや、『ウルトラマン』シリーズなどのテレビドラマの脚本を手がけていた
そこへ突然テレビショッピングの構成を依頼された星野氏だが、絶対にイケるという確信もあったそうだ
マーケティングなんか一切知らなかったシナリオライターが、なぜそこまで自信を持てたのか
それは「限られた時間でいかに無駄なく情報を入れ込むかという点では、映画もテレビショッピングも同じだ」「テレビショッピングにもそんな構造があるはずで、それがうまくハマれば強い訴求力を生み出すはずだ」と思ったからなんだそうだ
30分で5億売ったテクニックと構成
物語には構造があるというのは先に話した通りなんだけど、その構造が記号的にきちんと配列されていることで、受け取る側に対して強い”求心力”を与えるという基本原則がある
それを熟知していた星野氏は物語論法で商品を訴求する企画書を提出し、クライアントも「ぜひ見てみたい」と承諾
そして結果はタイトルのとおり、一本5万円以上もするゴルフクラブに10,000件ものオーダーが殺到し、5億円以上の売上になったそうだ
これはその会社のテレビショッピングシリーズの中で、最初に用意していた商品が売り切れるまでの最短記録になったらしい
さらに同じ手法で販売した低反発ウレタンフォームの枕(こちらも1万5千円はする商品)も30,000個近く注文されている
そして、この本にはその30分で5億売った「構成」がそのまま紹介されているんだ
- ビジョンを植えつけるための5つの「ツカミ」
- 商品理解を深めるための3つの「リサーチ」
- 最後に背中を押すための3つの「センノー」
実はたったこれだけ
これらをある決められた順番で構成すると、星野氏が手がけた30分で5億売った構成を再現することができるんだ
その順番と詳しい説明は本書を読んでほしい
セールスは物語を語ることだ
でも実は、こんあふうにセールスの「構成」を作って再現性を高めるというのも、アメリカではとっくの昔にやっていたことだったりする
日本の有名なマーケッターである神田正則氏も「PASONA」という型を提唱していたり、ダイレクトマーケティングという分野ではかなり研究と実証が進んでいることなんだ
こういった型の手本となる文章のことを、コピーライティングの業界で「スワイプファイル」と呼んだりするよ
そんなマーケティングの知識が一切なかったのに物語論法で販売しようとした星野氏のセンスには脱帽だ
もちろん分かっていると思うけど、この構成はテレビショッピングでの販売以外でも使えるからね
人間の本質的な部分にアプローチする手法だから、インターネット販売の商品説明にだってもちろん有効なはず
なんなら最近は動画で商品説明をすることもできるし、動画でのマーケティングが注目されているから、むしろ今こそ使うべき構成だね
ぜひガッツリ向き合って、自分の仕事にどうやって応用するか考えてみてほしい一冊だよ
3秒で見返す! 本書のポイント
- 人間は根源的に物語を欲している
- 30分で5億売った「テクニック」と「構成」
- 物語の構成のプロであるシナリオライターが考案
1分でわかる! 本書の要約
- ビジョンを植えつけるための5つのツカミ
- 商品理解を深めるための三つの「リサーチ」
- 最後に背中を押すための三つの「センノー」
次回予告
次は最近めちゃくちゃ注目している人、メンタリストのDaiGo氏の本をご紹介
心理学に基づいて相手を思うままに行動させるメンタリズム文章術が気になりすぎて、積んであるのにもう1回買おうとしてしまったというくらい読みたかった本なんだ
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