速読と勉強法を用いた書籍読書術の実践と本の書評レビュー

読書家の長尾さん

意志力を高めることができないのは考えるのをガマンしているから

意志力を高める『スタンフォードの自分を変える教室』実践編 連載

意志力を高めることができないのは考えるのをガマンしているから

更新日:

なぜほとんどすべての人が、思考の抑圧が効果的だと勘違いしてしまうのか?

読書家の長尾さん
連載42回目『スタンフォードの自分を変える教室』の実践です!

良い習慣を継続するために悪い習慣を捨てて「自分を変える」本を実践した記録だよ

「考えるな」って言ったのに! それどころか「やっちゃう」なんて!!

今回の見どころ


読書家の長尾さん
今回のテーマは「やっちゃいけない」と思ったことをむしろ「やってしまう」心理について
最近一般的にもよく知られるようになってきた「カリギュラ効果」とも関係ありそうやな

読書家の長尾さん
心理的リアクタンスとも言うね
でも普通なにかしら我慢しようって時はそれを考えんようにガマンするよなぁ

読書家の長尾さん
でもそれ逆効果なんだよね……というわけで早速そこんとこ勉強していこうか

コントロールしなければコントロールできる

好ましくない考えや感情をコントロールしようとするのをやめれば、そういった考えや感情に振り回されなくなる

脳の活性化に関する実験における、あるエピソードを紹介しよう

この実験では、参加者に「”頭の中で考えないようにしていること”について話してもよい」と許可した途端、それまで頭にしつこくこびりついていた考えが、あまり意識にのぼらなくなることが確認されたんだ

読書家の長尾さん
つまり「考えてもよい」と思ったことは、あまり考えなくなるということ

これは様々な内的体験に向き合う場合にも役に立つ

  • 不安
  • 憂うつ
  • 異常な食欲
  • 依存症など

これらに対して頭に浮かんでくる考えをムリに抑えつけたりせず、「感じるがままに感じよう」と腹をくくる

ただし「頭に浮かぶことが真実とは限らず、感じた通りに行動する必要はない」と理解しておくこと

思考を抑圧する実験

実際に思考を抑圧した場合にどうなるのか、実験例で見てみよう

ある実験で「それまで自分の身に起きた最も悲しい出来事を思い出すか、あるいは逆にそのことについて考えないようにしてください」と被験者に指示をした

すると被験者がストレスで疲れていたり、ぼんやりしているときには、「あえて悲しいことを考えよう」としたときよりも、悲しいことを考えないようにしたときのほうが、余計に悲しくなることがわかった

他にも以下のような自己批判的な考えを頭から追い払うといった実験もある

  • おれはどうせ負け犬だ
  • みんなアタシのことなんかバカだと思ってる

こういった考えを頭から追い払おうとしたところ、あえてそのような考えに冷静に向き合ったときよりも、プライドが傷ついて気分が落ち込んでしまうことが分かった

さらに別の実験では、思考を抑圧すると心的外傷後ストレス障害(PTSD)や強迫性障害(OCD)などの深刻な不安障害の症状を悪化させることも明らかになっている

瞑想のテクニックに見る皮肉なリバウンド対策

これらはつまり前回の記事『意志力を高めるならシロクマに気をつけろ』で出てきたウェグナーのシロクマ実験と同様、「考えないようにしよう」とすれば余計に考えてしまう「皮肉なリバウンド効果」が原因だ

ところで「頭に思い浮かんだことが離れない」というのは、瞑想時の「雑念」と似ている気がする

じっと動かないで呼吸に集中していると、次第に頭の中でいろんな考えが浮かんでくる

それらを考えないように頭をカラッポにして呼吸に集中するのが瞑想のトレーニングなんだけど、そのとき雑念を払うテクニックとして「浮かんだ雑念についてしっかり考えてから手放す」というものがあるのを思い出した

そのときは「ふーん、そんなものか」と特に深く考えなかったんだけど、この本を読んで「ちゃんと科学的な裏付けがあるものなんだなぁ」と感心した

読書家の長尾さん
瞑想をテーマに連載してみるのも面白いかもしれないなぁ

「考えるな」と言われたことを「実行」してしまう

ウェグナーのシロクマ実験に興味をかきたてられた、ロンドン大学セント・ジョージ校の心理学者ジェームズ・アースキンは、さらにこう考えた

「何かを考えないようにすると、余計にそのことを考えてしまうだけでなく、考えてはいけないと思っている、まさにそのことを『やってしまう』のだ」

  • ダイエットを破る
  • タバコ
  • ギャンブル
  • セックスに溺れる など

つまりあらゆる自己破壊的な行動の裏には「皮肉なリバウンド効果」のプロセスが潜んでいるのではないかと考えたんだ

そこで参加者の女性らを研究室へ招き、2種類の同じような味のチョコレートの試食テストという名目の実験を行うことにした

まずチョコレートが運ばれてくる前に、アースキンは女性たちを3つのグループに分け、それぞれ以下のようにした

Aグループ

「チョコレートについて思っていることを何でも口に出してください」と指示した

Bグループ

「チョコレートのことは一切考えないでください」と指示した

Cグループ

特に何も指示を与えなかった(比較のため)

AグループとBグループでは試食の前にチョコレートについて考えた平均回数は次の通りだった

  • Aグループ…平均52回チョコレートについて考えた
  • Bグループ…平均9回チョコレートについて考えた
読書家の長尾さん
Cグループがチョコレートについて考えた回数はこの本では出てこないけれど、特にチョコレートを想起させるような指示をされていないので考えてなかったんじゃないかな

さていよいよチョコレートが参加者の前に運ばれてくる

個別包装のチョコレートが20個入ったボウルが2つ置かれ、チョコレートに関する調査用紙を配布されると、参加者は部屋に1人きりにされた

調査用紙に回答するために、チョコレートはいくつ食べてもかまわないことになっている

実験の結果、試食の前にチョコレートについて考えないようにしていたBグループの女性たちは、他の女性の2倍近くものチョコレートを食べてしまうことが確認された

中でもダイエット中の人に発生する皮肉なリバウンド効果は最も激しかったそうだ

この実験により、誘惑をはねのけようとして思考を抑圧しがちな人々は、むしろ思考の抑圧がもたらす反動に対して最も弱くなることがわかったんだ

ダイエットは体重を「増やす」行動

さっき紹介したアースキンのチョコレート実験で、AグループとCグループに目立った差がないということは、「考えないようにした場合」だけ顕著に違いが表れるということになる

2010年に行われたある調査では、「ダイエット中の人はダイエットをしていない人よりも食べ物のことを考えないようにしている」ことがわかっている

ということはダイエット中の人が食べ物のことを考えないようにしていると、食べ物に対する自制心は逆に弱くなってしまうということだ

食べ物に対する欲求があまりにも強くなって、思考を抑圧していない人に比べてはるかに大食いしてしまうこともわかっている

しかもさらに皮肉なことに、2007年に行われた「食事制限およびカロリー制限に関する研究結果」のまとめによると、ダイエットによる減量効果や健康上のメリットはほとんど認められず、むしろ害になっていると報告されている

ダイエットをした人のほとんどは、やがてダイエット中に痩せた分の体重が戻ってしまうばかりか、むしろ逆に増加するそうだ

実際のところダイエット方法として知られている行為は体重を落とすよりも「増やす」効果のほうが大きいらしい

ダイエットをした人は、ダイエットをしなかった人に比べて体重が増える傾向も確認されているようだ

そもそも何度もリバウンドして体重増加するたびにまた減量して体重の増減を繰り返すようなダイエットは、血圧やコレステロール値の上昇、免疫システムの低下などをもたらす

数々の長期にわたる実験の結果、さらに心臓発作・脳卒中・糖尿病などの原因による死亡のリスクが高まることも分かった

健康的なリスクだけじゃなく『意志力を高める脳とエネルギーの関係』でも触れたけど、過度に食事制限をして腹が減っているとリスクの高い投資に手を出したり、パートナー拡大戦略(つまり浮気)に積極的になったりしてしまったりもする

そしてアースキンをはじめとする多くの研究者らは、ダイエットに効果がないのは「太りそうな食べ物を禁じること」が原因だということを突き止めた

実験によって、「ある食べ物を制限されるとそれがますます食べたくなる」ことも明らかになっている

たとえば「1週間後の試食テストまでチョコレートを食べないように」と指示された女性は、そういった指示を受けなかった女性に比べて2倍もチョコレートアイスクリームやクッキーやケーキを試食テストのときに食べてしまったらしい

読書家の長尾さん
ということはダイエットして体重が減ったあと、それまでガマンしていた分、ダイエットを始める前以上に食べてしまうということなのかも

思考の抑圧が効果的だと勘違いしやすい理由

思考の抑圧が逆効果だというのはここまでの数々の実験例でわかってもらえたと思うけど、なぜ「思考を抑圧するのが効果的」だと勘違いしてしまうんだろう

ダイエット中の人に限ったことじゃなく、誰でもこの幻想に騙されてしまう理由はなんだろう

この本によると、ある考えを一時的に頭から追い払うことは可能なので、そうした戦略は基本的に正しいのではないかと思ってしまうからだそうだ

それでも結局思考や行動をうまくコントロールできないとわかっても、「抑圧が足りなかったせいだ」(辛抱が足りなかったとか)と勘違いして、「抑圧しても効果がない」とは考えない

そのせいでますます厳しく思考を抑圧して、さらにひどい「皮肉なリバウンド効果」を経験することになるんだ

マイクロスコープ:自分に何を禁じていますか?

各章で説明するポイントが自分の生活にも当てはまることに気づくための課題、マイクロスコープ

今回は「自分が抑圧している思考」について振り返ってみる

ある食べ物を制限すると、ますますそれが食べたくなることが実験でも明らかになっています

あなたにもそんな経験がありますか?

ある食品群や好きなお菓子を我慢して体重を減らそうとしたことはありますか?

その場合、どのくらい続いたでしょうか?

そして、どのような結果になったでしょうか?

いまも食べないようにしている食品はありますか?

もしある場合、その食品を食べないようにしているせいで、逆にもっと食べたくはなりませんか?

ダイエットをしていない人でも、何か自分に禁じているものはありますか?

禁じたせいで欲求はなくなりましたか?

それともかえって欲求が強まっていませんか?

今回の連載を通した意志力を高めるチャレンジ『月~金は毎日ブログを更新する』だけど、これをやるためにガマンしていることは山ほどある

単行本を買い集めているマンガも未読がたくさんあるし、興味があって買った新しい分野の本も積ん読になっている

本はちょっと落ち着いて読む必要があるから未読のままなんだけど、問題はスマホでできるゲーム

ちょっとした息抜きに短時間でできてしまうから、普段からやらないように抑圧していたところ、その反動でやりだしたら止まらなくて1時間くらいやってしまっていることもあった

でも今は『創作や作業に没頭したいのに邪魔する人がいる? これ1つだけやってください お金は使いません』で紹介したポモドーロ・テクニックを使ってうまくコントロールできるようになっていると思う

25分集中したら息抜きは5分

さすがにスマホのゲームでも5分じゃ大したことはできないので「じゃあ全部終わってから」という風に考えることができている

未読になっている本もその応用で「この連載が終わったら時間をとって読もう」と思えているから中途半端に時間を使って手を出さずにいられているんだろうね

10分待て!意志力を高めるまで!』で紹介した10分ルールの考え方は本当に効果的だと思うよ

まとめ:思考を抑圧するのはやめよう

何かガマンして考えないようにしていると、その反動が大きくなってしまうことが分かった

むしろ逆にやりたいことについてアレコレ語ったり、じっくり考えたりするほうが欲求が少なくなるらしい

何かをやらないようにするとき、それについての考えを頭から追い払おうとするのは逆効果だと覚えておこう

次回予告:考えろ!でも実行するな!

今回、思考を抑圧すると逆効果だということがよく分かった

でも実際のところ「やらない」ということは重要だ

矛盾しているようだけど、そこのところは次回の記事で詳しく説明していくよ

記事を書いたらFacebookページTwitterで更新通知するので、まだフォローしていない人はぜひフォローしてお知らせを受け取ってね

-意志力を高める『スタンフォードの自分を変える教室』実践編, 連載

Copyright© 読書家の長尾さん , 2019 All Rights Reserved.