田丸雅智氏の『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』を実践してショートショート小説を作ってみる連載
第二回目の今回は、前回ワークシートを使って発想したアイデアから、超ショートショート小説を作るところまで実践するよ
前回のおさらい
前回は、以下の内容を実践して超ショートショート小説のアイデアを3つ書き出すところまでだったよね
- どんなものでもいいので、名詞を20個書き出す
- 書き出した名詞から1つ選び、その名詞から思い浮かぶことを10個書き出す
- 思い浮かんだ10個のキーワードのうち1つと、残り19個の名詞から1つ選んで組み合わせる
- 組み合わせのうち、おもしろいアイデアになりそうな”不思議な言葉”が出来たら書き留めておく
まず辞典を使って書き出した20個の名詞の中から『カーバンクル』という名詞を選び、連想することを10個書き出した
その10個のキーワードと残り19個の名詞を組み合わせて書き出したのが、以下の3つの言葉だ
- 幸運や富をもたらす死霊使い(宝玉を手にした人間に幸運や富をもたらす + 死霊使い)
- 人前にほとんど姿を見せない歩兵(人前に姿を見せることはほとんどない + 歩兵)
- 治癒能力があるアサシン(治癒能力がある + アサシン)
テーマは『幸運や富をもたらす死霊使い』
どのアイデアも面白そうだったけど、今回は『幸運や富をもたらす死霊使い』をテーマに超ショートショート小説を書いてみることにしたよ
僕自身が「死霊使いなのに幸運をもたらすの? 何それ?」と感じてしまって、もうテーマを決める前からそれについて考え始めてしまっていたからね
ではこのテーマについて、田丸式メソッドのワークシートで続きの枠を埋めていくことにしよう
それは、どんなモノですか? 説明してください
『幸運や富をもたらす死霊使い』って、いったいどんなものなんだろう
”幸運や富をもたらす”から言い換えると何になるんだろうな
死霊使いがもたらす幸運って、なんとなくキラキラしたもんじゃなくて、ダーティーなイメージがあるよな
ギャンブルで儲かるとか、そんなカンジのイメージだ
そうすると”富”にも繋がってくる
つまりは『人々の願望・欲望を叶える死霊使い』か
なんか『笑ウせえるすまん』っぽいイメージが浮かんできたな
どこで、どんなときに、どんないいことがあるか考えてみる
『人々の願望・欲望を叶える死霊使い』が、どこでどんなときに、どんないいことがあるんだろう
死霊使いなんだからネガティブなイメージはいくらでも出てくるんだけどな
なにはともあれ”どんな願望・欲望も思いのままに叶えてくれる”のはそのままいいことだよね
”どこで”というと古びた洋館とか洞窟とか、アンダーグラウンドっぽいイメージのある薄暗いところにいそうなイメージかな
”どんなときに”でいえば強い願望を持っているときや邪な欲望を抱いたときか
うーん……でもそんな人をどうやって洋館や洞窟に誘い出すんだ?
むしろそこらへん歩いてるときに遭遇するほうが自然だし展開も手っ取り早そうだな
よし”路地裏”あたりにしとくか
いいことのほうはコレでいこう
どこで、どんなときに、どんな悪いことがあるか考えてみる
「願いを叶える」とかいわれて思い浮かぶ”悪いこと”といえば、やっぱり”代償”だろう
死霊使いが欲しがる代償ってなんだろ…… やっぱり”魂”とか”新鮮な死体”かな
死霊使いという名詞を引っ張ってきた『決定版 幻想世界の職業FILE』に、こんな記述があった
そのため、死霊の思念に取り込まれたり、圧倒されない強靭な精神力も必要だ
最悪の場合は死霊に支配されたままその下僕になったり、生命エネルギーを吸い取られてしまうこともある
ということは死霊に取り込まれてしまった死霊使いが、主人のために魂を狩り集めていると考えたら筋が通るか
願いを叶えるときに何かしら”悪魔的な契約”を交わして、その条件を破ったら魂が奪われるというのがファンタジーっぽくていいかもしれない
でも願いを叶える代償がそのまま”魂とられる”だと、そもそもビビって逃げられちゃうし、欲深な願いが叶ったのに楽しむことなく死ぬんじゃ意味ないよな
うーん……じゃあ何かしらの”条件を守る”ことが契約になっていて、その条件を破ると魂と肉体を奪われることにしよう
これなら”条件さえ破らなければいい”と思って契約しちゃうやつもいそうだよね
ここまで書いたことをまとめて超ショートショート小説を作ってみる
ここまで田丸式メソッドのワークシートを使って、超ショートショート小説のアイデアを固めてきた
いよいよ超ショートショート小説を書いてみよう
路地裏で出会った占い師は、どんな願望・欲望も叶える像を持っていて、1つだけ願いをかなえるまで貸してくれるという
ただし1つ願いを叶えたら必ず返しに来ること
この条件を破ると取り返しのつかない代償を支払うことになる
実はその占い師は死霊使いで、欲の深そうな人間が近くを通りかかると住処の路地裏へ誘い込む
そしてあの手この手で契約を破らせるよう工作し、代償として魂と肉体を奪うのが目的なのだ
題名はお察しのとおりストーリー型自己啓発本のベストセラー『夢をかなえるゾウ』をもじったものだ
とまあこんな具合に超ショートショート小説を書くことができた
本当に40分で超ショートショート小説を書ける
はじめてだったし記事を書きながら考えたから、超ショートショート小説を書き上げるまで正味の時間でも90分くらいはかかっていると思うけど、慣れればここまでを本当に40分で書き上げることができると思う
実際キーワードを組み合わせてアイデアとなる”不思議な言葉”を作るまで10分もかかっていなかった
書き上げて自分で読んでいるときにふと気づいたんだけど、超ショートショート小説っていわゆる『ログライン』に近いものだよな
ということはこれを拡張していくことで、もう少し長いショートショート小説を書くことも可能ってわけだね
なるほどなるほど……だいぶやり方がわかってきた気がするぞ
次回予告
次回は金曜日恒例、#FollowFriday(#FollowFridayTweet)だ
今週もツイッターでフォローしてくれている読書家さんを紹介するよ
そしてそのあと次週からは超ショートショート小説からショートショート小説をつくるために、物語の設定を考えてみるよ
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