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読書家の長尾さん

マンガで読み解く人を動かす

人文・思想 書評

あなたには自分を成功に導くバイブルがありますか? 『マンガで読み解く 人を動かす』(実業家 デール・カーネギー, 小説家 歩川友紀, 漫画家 青野渚&‎福丸サクヤ)

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あなたが忙しいのは分かっています 読むべきものが多すぎて読めないことも分かっています でも、なぜ僕がこの記事をあなたに読んでもらいたいかというと……

デール・カーネギーの『人を動かす』は、1936年に発売された古い本なんだけど、世界中で1500万部以上も売れていて、発売から80年以上経った現在でも売れ続けている超ロングセラー作品なんだ

日本のビジネスマンでも愛読している人は多く、経営者でなくとも”人間関係の原則”をこの本に学んだという人は非常に多い超有名な本だ

原著はいい本だけど親しみにくいし実例が古い

それだけ良い本だというのは分かっているけれど、「古典のようで親しみにくい」という理由で今まで敬遠してきた人や、「もう少し現代に近い実例で内容を理解したい」という人もいるよね

そこで、マンガで読みやすく『人を動かす』に触れるというアプローチを試みたのがこの本

こうやって難解な実用書を読みやすくマンガにしてしまえるところは、日本の素晴らしいところだと思う

現代のサラリーマンが主人公

この本では、現代のサラリーマンを主人公にして、『人を動かす』に出てくるエピソードを再構成している

たとえば、原著『人を動かす』で”人に好かれる六原則”とされているうちの1つ、”誠実な関心を寄せる”と”心から褒める”についてのエピソードであれば、こうなる

主人公の青年は、広告の営業担当で、同僚との昼食の帰りにあるジュエリーショップの前を通りがかる

「この店はダメだぞ、このあいだ一生懸命説明したけど結局追い返されたよ」と同僚に言われるが、主人公は構わず店内へと入っていく

たしかに店内は忙しそうで、「責任者の方は……」と言い終わる前に接客中の女性スタッフから待つように言われ、そのまま放置される主人公

ふと店内で目に入った照明に関心をもち、熱心に見ているところへ別のスタッフから声をかけられる

和紙を使った幻想的な雰囲気のその照明は、無名の作家の作品だと聞かされるが、本当に気に入ってしまった主人公は「それでも、これだけの作品ですから結構お高いんでしょうね」と感想を述べる

そうすると何故かそのスタッフの表情が明るくなり、店舗スペースだけで飾りきれない分を二階のオフィスに置いてあるので、よければ来ないかと主人公を誘う

付いて行ってみると3台もの棚にぎっしりと照明が並んでいて、そこでもまた「置物というか装飾品としてもいいですね」と感想を述べると、それほど気に入ったのならひとつプレゼントすると申し出られる

実はその照明はそのスタッフが趣味で手作りした作品なのだという

そして、主人公に話しかけてきたそのスタッフは店のオーナーであり、主人公はその後、見事に広告の契約に結びつけることができた

このエピソードから学べることは、この2つだ

  1. 心からの関心を示せば、どんなに忙しい人でも、注意を払ってくれるし、時間も割いてくれ、また協力もしてくれる
  2. 人間は、誰でも周囲の者に認めてもらいたいと思っていて、見えすいたお世辞は聞きたくないが、心からの賞賛には飢えている

このエピソード、マンガだからご都合主義の出来すぎた話で書かれてると思う?

でも、原著『人を動かす』に書かれている”実話エピソード”は、血統書付きの子犬や、新品同然の自動車をプレゼントしようという、もっと信じられないような話が出てくるんだよ

オーナーは自分の手作り品を食い入るように見つめている青年に興味をもったので忙しい中でも声をかけたし、その作品を賞賛されたことで、作家としての承認欲求が満たされ、主人公との間に心理学で言うところのラポール(深い信頼関係)が築かれたんだろうね

営業や販売の本では、このラポールを顧客との間に築くことの重要性が説かれていて、様々な心理学の裏付けで実証できるエピソードなんだ

とりあえず大体の部分に触れてみよう

こういったエピソードが全部で10話収録されているんだけど、マンガで描かれているおかげで本当にさっと手軽に読めてしまえる

巻末には原著『人を動かす』に掲載されている30原則の一覧も入っていて、各エピソードごとに解説もあるので、「もう少しだけ詳しく読みたい」と思ったところでは読みごたえもあるし、何より原著『人を動かす』に対する興味が大きく膨らんでくる

世界的な名著の”とりあえず大体の部分に触れてみる”という意味でも、非常におすすめの一冊だよ

D・カーネギー,‎ 歩川 友紀,‎ 青野 渚,‎ 福丸 サクヤ

次回予告

このブログはまだひたすら記事を増やしていく段階なんだけど、いざアクセスアップさせようと思ったときのために、今からブログ運営に関する本も読んでおきたいと思う

というわけで次回は、人気ブログ「わかったブログ」の管理人である”かん吉”氏の電子書籍をご紹介するよ

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