自制心を発揮しやすくする驚くべき方法があります
「自分を変える」ことができる本の実践記録、実践して悪い習慣を捨てて良い習慣を継続しよう
この連載を読みながら一緒に実践して、あなたも自分を変えてみよう
今日のキーワードは「心拍変動」
心臓の動きで意志力の強さが分かるんだってさ
心拍変動とは
実は息を吸うとき心拍数が少し増加する
逆に吐くと心拍数は減少する
この心拍数の増減の差を「心拍変動」というんだけど、これを測定することが前回の記事「意志力に反して体が勝手に衝動的になる!?」で出てきた休止・計画反応を測定するために最もよい生理学的な方法なんだ
これには2つの自律神経系の神経枝からの信号が関係している
2つの自律神経系の神経枝からの信号
交感神経・副交感神経というのを聞いたことがある人は多いと思う
内臓や血管のはたらきを管理している自律神経は、この交感神経と副交感神経に分けられるんだ
心拍変動数の変化からどちらが活発になっている状態か観測することができ、それによって体がストレス状態にあるか穏やかな状態にあるかが驚くほどよく分かる
交感神経
交感神経系の信号は体に行動を起こさせるもので、ストレスを感じると活発になる
交感神経系の信号が活発になると心拍数は増加するけど、息を吸ったり吐いたりしたときの心拍の差は小さい
差が小さいってことは、ずーっと心拍数が増加した状態になるってことなので、心拍変動数が下がった状態になる
前回の記事「意志力に反して体が勝手に衝動的になる!?」に出てきた闘争・逃走反応はまさにこの状態
副交感神経
副交感神経系の信号は、交感神経とは逆に体をリラックスさせ回復させるもので、自制心をうまく発揮できたときに活発になる
副交感神経系の信号が活発になると心拍数は減少して、息を吸ったり吐いたりしたときの心拍の差は大きくなって、心拍変動数が上がった状態となる
なぜ心拍変動で意志力の強さがわかるのか
ここで紹介する心拍変動と意志力の関連を見つけたのは、前回も出てきたケンタッキー大学の心理学者スーザン・C・セガストロームだ
セガストローム教授がこういった自己コントロールの生理学上の兆候に気づいたのは、ある実験で学生たちを観察していたときだった
ちなみに前回も説明したけど、生理学というのは生物のいろいろな器官の働きを研究する生物学の一部門で、神経・筋肉・感覚・血液などを研究する分野だよ
セガストロームのチョコチップ・クッキーとニンジンによる観察
学生たちは味覚のテストの準備と称して、食事を抜いてくるよう指示されて集められた
そして教授は腹ぺこぺこの状態になった学生たちを、焼きたてのチョコチップ・クッキーやチョコレートキャンディ、それからニンジンが並べられた部屋へ案内して指示をする
「ニンジンならいくら食べてもいいけど、クッキーやキャンディは次の実験で使うので触らないように」
このとき学生たちは自制心を発揮してお菓子の誘惑に打ち勝たなければならなくなったんだけど、このとき心拍の差が大きくなった──つまり心拍変動数が上昇したんだ
逆に「お菓子はいくら食べてもいいけど、ニンジンは我慢しなさい」と言われた学生たちは心拍変動数に変化はなかった
食べ物や住環境で「意志力の保有量」が変わる
心拍変動は意志力の指標として大変優れているため、それによって誰が誘惑に勝てそうか、あるいは負けそうかを予測できる
たとえば元アルコール依存症患者が酒を見たとき、心拍変動が上昇して自制心を発揮している体の状態になっていれば禁酒を続けられる可能性が高いことがわかる
心拍変動数の高い人の特徴
研究によって、心拍変動数の高い人にはこういった特徴があることがわかっている
- 気が散るものを無視するのが上手
- 欲求の充足を遅らせるのが上手
- ストレスの多い状況に対処するのが上手
- 難しい課題に取り組んだ場合、たとえ最初のうちはうまくいかなかったり、誰かに批判的なことを言われたりしても課題を投げ出さない可能性が高い
自己コントロールの能力を生理学的に測定しようと考えた心理学者たちは、こうした発見を踏まえて心拍変動を意志力の体内「保有量」と呼ぶようになった
生理学的な条件が不利なせいで誘惑にかられてしまう人がいるのはなぜ?
心拍変動が高いおかげで意志力の問題に対処できる人がいる一方、生理学的な条件が不利なせいで誘惑にかられてしまう人がいるのはなぜだろう
実は意志力の保有量には、さまざまな要素が影響しているらしい
まず食べるものについて、ジャンクフードよりも植物ベースの加工されていない食品がいいらしい
次に住むところも、空気の悪いところは意志力を低下させてしまうそうだ
他にも心や体にストレスを与えるものは何であれ自己コントロールの生理機能を妨げ、つまりは意志力を損なってしまう要因になる
- 不安
- 怒り
- 抑うつ
- 孤独
- 慢性の痛み
- 病気
体と心を自制心を発揮できる状態にもっていくための方法
こうした要因に対処するために、自制心を発揮できる体と心の状態にもっていくための方法もたくさんある
- 瞑想
- エクササイズ
- たっぷりの睡眠
- 体によい食事
- 友人や家族とかけがえのない時間をすごす
- 信仰やスピリチュアル関係の集まりに参加する など
意志力の実験:呼吸を遅らせれば自制心を発揮できる
科学的な研究や理論にもとづいて自己コントロールを強化するための実践的な戦略、意志力の実験
今回は呼吸を意識することで自制心を発揮する方法について
意志力をてきめんに高める方法は、呼吸のペースを1分間に4回~6回に抑えること
呼吸のペースを遅くすると、前頭前皮質が活性化し、心拍変動も上昇します
これが脳と体をストレス状態から自制心を発揮できる状態に切り替えるのに役立つのです
このテクニックを数分間試すうちに気分が落ち着いてコントロールが利くようになり、欲求や問題に対処する余裕が生まれます
まず、通常は1分間に何回呼吸しているかを数えてください
それから呼吸を遅くするのですが、息は止めないようにします
呼吸のペースは1分間あたり4回まで減らせなくてもかまいません
12回以下になれば心拍変動は確実に上昇します
この練習を定期的に行えばストレスに強くなり、意志力の保有量も増えることが研究によってわかっています
たったの1~2分、ゆっくりと呼吸するだけで意志力の保有量が増えるのですから、意志力が試される問題に直面したときは、いつでも試してみるとよいでしょう
実際にやってみると最初のうちはちょっとだけ苦しいけど、できるだけ呼吸を長くしているうちに1分に4回のペースになっていく
僕の場合は5秒吸って10秒吐くというペースにしている
吸うのを長くするより吐くのを長くするほうがラクだし、吐くときに副交感神経が働いているのならリラックス状態を長くしたいからね
まとめ:心拍変動数を高めよう
心拍変動数の上昇しているリラックスした状態で休止・計画反応になっていることがわかった
ゆっくり呼吸をすることでこの状態にできるようなので、やらないほうがいいことを「やりたい!」とか、やらなきゃいけないことを「めんどくさい!」って思ったときには、1分間に4回のペースで呼吸することにしよう
次回予告:運動すれば脳が大きくなる
次回も意志力に関する生理学的な話が続くよ
運動と意志力の関係について勉強していこう
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